アクロバットのコツ

【ロンダート コツ】手の向きで側転もバク転も変わる話

文・井藤 亘

こんにちは!アクロバット大学へようこそ。ここではバク転やバク宙などのアクロバットに関する知識をみんなでお勉強していきます。今日のテーマは「手の向き」です。

レッスンでよく相談されるのが「ロンダートが安定しない」という悩みです。着地がブレる、まっすぐ跳べない、勢いがなくなる。相談してくる子どもたちの手元を見ると、ほとんど同じ場所につまずいています。

ロンダートが不安定な本当の原因

ロンダートの相談を受けたとき、まず僕が見るのは手の向きです。驚くほど多くの子が、手を進行方向に向けたまま床についています。正解は逆です。ロンダートの手は、進行方向と反対向きにつくのが正解です。ここがズレていると、マットをしっかり押すことができません。

マットを押せないと、回転の後半で上半身を起こす動作がしにくくなります。体重がうまく乗らなかったり、回転そのものがブレたりするのは、そもそも手の向きが崩れているからです。

さらに、手の向きが違うと、肩がしっかりはまりません。肩は上半身と腕をつなぐ関節です。ここが不安定になると、上半身からマットへ伝えるはずの力も、マットから上半身へ返ってくるはずの力も、肩のところで消えてしまいます。せっかく体を使っているのに、力が途中で消滅してしまうのです。

似たようなことは側転にも言えます。側転の手は横向きが正解で、ここが進行方向に向いてしまうと、やはり力が途中で消えてしまいます。向きそのものは技によって違いますが、手の向きが崩れると力が逃げるという崩れ方の構造は同じです。

見た目は違っても、技の途中で起きている崩れ方は同じです。ロンダートが不安定なとき、直すべきは技そのものではなく手の向きです。

ブリッジ・前転・後転にも同じ原因がある

手の向きの崩れは、もっと手前の動きにも出ています。ブリッジの手は、まっすぐ正面を向いているのが正解です。指先が外に開いてしまう子が多いのですが、この向きが崩れていると、ゆらゆら揺らす練習もブリッジ歩きの練習も、やっているつもりでまったく意味をなしません。できないわけではなく、練習として体に効いていないのです。

前転でつまずく子によく見られるのは、肘が曲がることよりも、手のひら全体でマットを押さえきれていないことです。回っている途中で手がスライドしてしまい、体を支える力がまっすぐ伝わりません。後転で肘が外についてしまうのも、根っこは同じです。手の向きが崩れているせいで、支えるべき力が逃げてしまっています。

前転のスライド、後転の肘、ブリッジの揺れや歩き、側転の流れ、そしてロンダートの着地。全部バラバラのクセに見えますが、手の向きを直せば、これらは全部まとめて直ります。技ごとに別々の注意点があると思っていたものが、実は1つにまとまっているのです。

手の向きを直す3つのポイント

ここまでの話を、実際に体で直すための3つのポイントに整理します。覚えて帰ってもらえれば、その日の練習から変わります。

①手は進行方向と反対向きにつく

床に手をつくとき、指先が進行方向に流れていないか確認してください。ロンダートの手は、進行方向と反対向きにつくのが正解です。ここがズレていると、マットをしっかり押すことができません。

②歩く・ブリッジでも向きをキープする

手の向きはロンダートの瞬間だけ直してもすぐに戻ってしまいます。歩く練習やブリッジの姿勢のときから、常にこの向きをキープする意識を持ってください。普段の形が崩れていると、技の中でも必ず崩れます。

③手が自分に近づいてこないように遠くへ伸ばす

手をついたあと、体に引き寄せるように近づいてしまう子がいます。手は遠くへ伸ばしたまま保つこと。これもロンダートの安定に直結するポイントです。

一瞬止まると化けるロンダート

手の向きが直ってきたら、もう1つ意識してほしいことがあります。ロンダートに入る瞬間、勢いのまま突っ込むのではなく、一瞬だけ動きを止める意識を持つことです。

多くの子は、早く跳びたい気持ちが先に出てしまい、体が勢いに流されたまま突っ込んでしまいます。これが着地のブレや、回転が雑になる原因になります。一瞬動きを止める意識を持つこと。これだけでロンダートの質が大きく変わります。

レッスンでは、正しい側転と崩れた側転を2つ見せて、どちらが正しいか子ども自身に考えてもらうこともあります。先に答えを渡すのではなく、自分で気づいてもらう。そうすると「手が近づいてこないように遠くに伸ばす」という感覚が、ただ聞くより強く残ります。ロンダートも考え方は同じです。

まとめ

ロンダートが安定しないとき、直すべきは技そのものではありません。まず疑うべきは手の向きです。

側転、ブリッジ、前転、後転。別々のクセに見えていたものも、たどっていくと同じ原因に行き着きます。手の向きをまっすぐに整えること、普段の動きからその向きをキープすること、手を遠くへ伸ばして近づけないこと。この3つができれば、技ごとに直す必要はなくなります。

その上で、ロンダートに入る瞬間、勢いのまま突っ込まずに一瞬だけ動きを止める意識を持ってみてください。手の向きと、この一瞬の間。この2つが揃えば、ロンダートは大きく変わります。

ロンダートがまっすぐ跳べない人は【ロンダートが曲がる】原因と直し方・正式名称も解説を、基本から整理し直したい人は【ロンダートのコツ】4つの基本と、バク転が上達しない本当の原因も合わせて読んでみてください。

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