アクロバットのコツ

【バク転 足が開く】原因と直し方|癖は毎回直す

文・井藤 亘

こんにちは!アクロバット大学へようこそ。ここではバク転やバク宙などのアクロバットに関する知識をみんなでお勉強していきます。今日のテーマは「バク転で足が開く癖」です。

レッスンでよく相談されるのが、バク転で足が開いてしまう癖です。本人に聞くと、ほとんどの子が「ちゃんと閉じてます」と答えます。でも実際の動きを見ると、はっきり開いている。この噛み合わなさが、足が開く癖を直すときの一番のハードルになります。

足が開くのは「できてない」からじゃない

足が開く癖は、技ができていないから起きるわけではありません。自分の体が今どういう状態になっているか、本人が正しく把握できていないことが原因です。閉じる力がないのではなく、開いていることに気づいていない。だから何回「開いてるよ」と声をかけても、本人の中では「いや、閉じてるはずです」という感覚が続いてしまいます。

指摘しても直らないのは、サボっているからでも、できないからでもありません。本人の感覚と、実際の体の動きにズレがあるからです。このズレをどう埋めるかが、足が開く癖を直す上で一番大事なポイントになります。

ビデオで見せたら一発でわかった話

以前、どうしても足が開く癖が直らない生徒がいました。バク転の最後、着地の直前で足が3cmほどパカッと開いてしまう。何度口で伝えても、本人には伝わっている様子がない。そこで、実際にその場でビデオを撮って、本人に見せたことがあります。

映像を一緒に見ながら、着地までの動きをゆっくり追っていきました。閉じている、閉じている、閉じている。そして着地の直前、ほんの一瞬で足がパカッと開く。その瞬間を、本人の目で確認してもらいました。口でどれだけ説明するより、この数秒の映像の方がずっと伝わります。

ここで大事なのが、感覚ではなく数字で伝えることです。「3cm開いている」「着地の一拍前から開いている」。そう数値化すると、本人の中の「閉じてるつもり」という曖昧な感覚ではなく、誰が見ても同じ結論になる共通の事実に変わります。そうなって初めて、本人は自分で「今の開いてた」「今のは閉じてた」と判定できるようになります。

動画を撮るときだけ上手にやる罠

このとき、もう一つ面白いことが起きました。ビデオを撮ると伝えた瞬間、1回目の動きがすごく良かったんです。足もきれいに閉じている。ところが2回目を撮ると、またいつもの癖が出て開いてしまう。

これは技術の問題ではありません。集中力がどれだけ続くかという問題です。「見られている」「撮られている」という意識がある間は体が正しく動く。でも、その意識が緩んだ瞬間に、元の癖が顔を出してしまいます。つまり、足を閉じる力自体はすでに本人の中にある。足りないのは、それをずっと保ち続ける意識の方です。

ここで勘違いしやすいのが、足を閉じる力さえあれば、本番だけ気持ちを引き締めてやれば何とかなるという考え方です。そうではありません。動きの癖というのは、本番の一瞬だけ意識したところで簡単に変わるものではないんです。普段の練習から閉じることをずっと意識し続けて、本番ではむしろ何も意識しなくてもできてしまう。そのくらいの状態まで体に覚え込ませておく必要があります。本番で気を抜かないようにするのではなく、練習のときから気を抜かないこと。ここを間違えないでください。

足を閉じるための3つの意識

ここまでの話を踏まえて、足が開く癖を直すためにやってほしいことを3つにまとめます。

①動画で間違い探しをする

動画は撮っただけでは意味がありません。正しい動きのお手本と自分の動きを並べて、どこが違うのかを間違い探しのように見比べてください。足のどの位置で開き始めているか、コマ送りで確認すればもっとはっきりわかります。今は誰でもスマホで動画が撮れる時代です。せっかくある道具なので、ちゃんと使ってください。

②癖は毎回意識して直す

癖というのは、回数をこなしているうちに自然と直るものではありません。倒立の視線がなかなか直らない生徒がいますが、これも同じです。何度注意しても直らないのは、本人が練習の数だけをこなしていて、その一回一回で今回は見るところを間違えないようにしようと考え直していないからです。足を閉じる癖も同じです。やった回数ではなく、毎回「今回は閉じる」と意識し直した回数だけ直っていきます。

③本番だけ上手くやろうとしない

仮に足を閉じる力が本人にすでにあるとしても、本番の瞬間だけ意識すればどうにかなると思っているなら、それは間違いです。動きの癖は、そんなに簡単には変わりません。普段の練習から閉じることを意識し続けて、逆に本番では何も意識しなくてもできてしまうくらいの状態にしておく必要があります。本番だけ上手くやろうとするから、本番で崩れるんです。練習のときから気を抜かない。ここを間違えないでください。

まとめ

バク転で足が開くのは、技術が未熟だからではありません。自分の体が今どう動いているか、本人が正しく把握できていないことと、できているときもできていないときも同じ意識で取り組めていないことが原因です。

まずは動画を撮って、自分の目で見てください。そして「できてるから大丈夫」で終わらせず、閉じる力を毎回意識して使うこと。仮に足を閉じる力がすでにあるとしても、本番の瞬間だけ意識すればどうにかなると思っているなら、それは違います。動きの癖はそんなに簡単には変わりません。普段の練習から閉じることを意識し続けて、本番ではむしろ何も意識しなくてもできてしまう。そのくらいの状態にしておくことが必要です。それができていれば、本番は特別なことをしなくても自然とできます。この積み重ねが、足が開く癖を直す一番の近道です。

今回は意識の持ち方を中心に話しましたが、足を閉じるための体の使い方そのものにもコツがあります。そちらはまた別の機会に詳しくお話しします。

きれいなフォームでバク転を仕上げたい人は【美しいバク転】足を伸ばす、くっつけるバク転の練習方法を、ロンダートからの一連の流れを見直したい人は【ロンダートのコツ】4つの基本と、バク転が上達しない本当の原因も合わせて読んでみてください。

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